今日は3月27日、いろはが晴れる道・オルタナティブを卒業する日である。
リハなどもある為、今日はいつもよりも早めに家を出ることになっている。
いろはも準備ができたらしく、事務所へと向かべく、共に歩き出す。
兎山悟(以下、悟)「いろはちゃん…昨日の配信を見てさ、一つ思ったことがあるんだ。 やっぱりいろはちゃんは、いろんな人から愛されてたんだなぁって。」 犬飼いろは(以下、いろは)「うん!…でも、リハでも失敗なんてしないから!」
勇介「じゃあ、楽しみにしてるよ。」
いろはを鼓舞し、事務所に着いた僕たちはスタジオへと向かい、リハーサルをするのだった。 リハが始まった。 悟くんにあれだけ意気揚々と大丈夫だと言ったのに、失敗してしまった…
楽屋で1人落ち込んでいると、 花束を持ったゆいぴょんがやってきた。 あくあ「ゆ、ゆいちゃん?」
するとゆいぴょんがこっちに走ってきて、抱きついてきた。
和実ゆい(以下、ゆいぴょん)「バカね…!何泣いてんの…!まだ早いよ…!」
その言葉は今の私を撃ち抜いた。
確かに今ここでいじけてる場合じゃない!
いろは「…ありがとう、ゆいちゃん。もう大丈夫だよ…」 私がそう言うと、ゆいぴょんは離れた。
ゆいぴょん「いい?頑張って、頑張って成功を掴み取るの!どれだけ悲しくても、それはみんなも同じなんだから! いろはちゃんがこんなとこでいじけてちゃダメなんだから!」
いろは「うん、ありがとうゆいちゃん!」ギュ!
あまりの嬉しさに、私はゆいぴょんに抱きついた。 いきなりのことで驚いていたが、抱き返してくれた。
咲良うた(以下、うた)「いろは先輩!!」
うた…ちゃん?が入ってきた。 その後少しだけど、2人と話すことができて緊張も治った。 うたちゃんは先に帰っちゃったけど、ゆいぴょんには 「残ってここから応援しててほしい!」って言ったけど、多分帰っちゃっただろうな…
もう一度スタジオに行くと、悟くんが待っていた。
悟「2人とは話せた?」
いろは「うん。休憩時間ちょっと長めに取ってくれてありがと。」 悟「最後だからな。しっかり休んで!万全の状態で本番に挑まなきゃ!」
いろは「うん、そうだね!」
いろは(でもその前に、さっき失敗したところだけでも練習したい!)
私が練習したい箇所を伝えようとすると、
悟「さっきのミスのところだけでも練習したいんだよね?」
いろは「え?う、うん。よくわかったね?」 なぜか心を読まれて、したかったことを先に言われてしまった。
疑問に思い聞いてみると、悟くんは胸を張って言い張った。
悟「そりゃあ、旦那ですから!」
そんな悟くんにおかしさを感じて、笑ってしまった。 悟くんはそんな私につられて一緒に笑ってくれた。先ほどまでの緊張は和らぎ、ミスした所も、無事成功させることができた。
そして…卒業ライブの時間が訪れた。 いろは「…あれ?お、おかしいな…さっきまで和らいでたのに…」
開始直前で急に震えが止まらなくなった… どうしようどうしようと悩んでいると…
悟「いろは!」
悟くんにいきなり両肩を掴まれた。そのことに驚いた私は 「な、なに?」と、聞こうとしたが、その前に悟くんにキスで口を塞がれてしまった。
大胆な行動に裏にいるスタッフさん達もびっくりしている。 戸惑っている私を見て…
悟「緊張はとけた?w」
と、小悪魔な笑みを浮かべる。
いろは「もう!///別の意味で心臓バックバクだよ…でも、ありがとう!」
震えは止まり、今は自身が満ち溢れてくる。
いろは「それじゃあ、先に行ってきます!」
悟「おう!僕も後で追いかけるから!」
こうして、卒業ライブが始まった。
卒業ライブが始まった。 『わんだふる・わお』から始まり、ホロライブJPと わんぷり・ひろプリ・デパプリでの『Shiny Smily Story』までやってきた。 この次は、僕たちの番だ! さくらみこ『アワーツリー』 突然の俺登場にリスナーたちは驚いている。 狙いどうりである。 その後いろは、みこと3人で歌っていき、曲も終盤… やっぱり、愛する存在は必要なんだと、今は胸を張って言える。 曲が終わり、雑談タイムに入った。
犬飼こむぎ(以下、こむぎ)・いろは「はい!というわけで!みんな楽しんでる〜?
待って、緊張で口パッサパサなんだけどw ちょっとお水飲みまーすw」
水飲みタイムに入ると、コメントが爆速で駆け抜けていき、タイムラグを通り越してようやく合流した。 こむぎ・いろは・猫屋敷ユキ(以下、ユキ)・猫屋敷まゆ(以下、まゆ)「ふぅ…それじゃあ次からは実際に私たちが踊って歌っていくよ!」
コメント欄が湧き上がり、何を歌うのかと、みんな盛り上がっていた。
が、その前にみんなに言わなければならないことがある。
いろは「だけど、その前に、みんなに重大発表があります!」
「なんだなんだ?」などといった興味深々なコメントが溢れ出す。 いろは「私、犬飼いろはは…
私の幼なじみの悟くんこと『兎山悟』さんと、この度!籍を入れる運びとなりました!」
そう、このタイミングで結婚報告である。 俺たちの予想は、ここで最悪の場合荒れに荒れまくり、それを収めるべく、俺の登場と、そのまま次に行く。 という計画だった。
しかし、コメント欄は荒れることなく、なんなら祝福の言葉がほとんどを締めていた。 「ついにか!?」「おめでとう!!」「悟!いろはを頼んだ!」
などといった言葉で埋まり、最高のパターンでの登場となった。
悟「はい!てなわけで皆さん!犬飼いろはの幼なじみの、兎山悟です! この度は、私の方からいろはさんにプロポーズさせていただき、結婚の運びとなりました!」
コメント欄は相変わらず祝福の言葉で埋まり、本当に優しい場所だなと、少し肩の荷を下ろすことができた。 いろは「式の方は…いつあげるか分かりませんが、近々行おうとは話し合っています。」
悟「これまでいろはのことを応援してくださったファンの皆さん、本当にありがとうございました!
しかし、私はまだまだ出演者でいるつもりなので!聞きたいこと等がありましたら、是非是非質問してください!
それでは!最後まで楽しんで行ってください!
じゃあ、またあとでね、いろはちゃん!」
いろは「うん!また後で!」
出てきた扉に入り、配信画面から僕の体が消えたのを確認し、僕は楽屋に戻る。 楽屋に戻ると、そこにはゆいちゃんが居た。
悟「あ、ゆいさ…ん!?」
いきなり腹パンをされたが、威力はこもっておらず、ポス!っという音がなるだけだった。
ゆいぴょん「いろはちゃんのこと!頼んだよ!」
泣きじゃくりながら笑顔でそう言うゆいちゃんに、僕は自信満々に答える。
悟「はい!いろはをこの命に変えても守って見せます!!」
するとゆいちゃんは、ここに座れと言わんばかりに椅子を引き、指を刺した。 僕がそこに座ると隣に座り、ライブ映像が流れているモニターを指差した。 俺はゆいちゃんと一緒にライブを見届けることとなった。
そして、泣きじゃくりながらホロライブ1期生と共に『夢見る空へ』を歌いきり、髪型を解くいろはを見た。
「守りたい想いはプリキュアの象徴だから!」
いつかいろはが言っていた言葉だ。 それを解いたということは…
その意味を察した俺は、この後会うまでは堪えようと思っていた涙が自然と流れ出す。 少し待てば、泣きながらいろはが楽屋に戻ってきた。 真っ先にゆいちゃんがいろはに抱きついた。
ゆい「お疲れ様!」
いろは「…うん!ありがとう!」
泣きながら抱き合う2人を見て、自然と涙が流れ続ける。
するとゆいちゃんが抱きつくのをやめ、俺の方を向き、目線で何かをしろと言っている。 悟「いろは、本当に1年間お疲れ様。」
いろは「悟くん…ありがとう!」
僕はいろはと抱き合い、そしてキスをした。
その様子を見ていたゆいちゃんは、顔を赤くし、両目を手で隠しながらも、隙間を開けてこちらをのぞいていた。 まぁそんなゆいちゃんを無視していろはとキスを続けていると、流石にゆいちゃんに止められてしまった。
その後、今回のライブに携わってくれたスタッフの方々に挨拶をして周り、最後に晴れる道の元へとやってきた。 いろは「晴れる道さん!本当に1年間お世話になりました!。」
晴れる道「いえいえ、こちらこそ1年間という長い間、晴れる道ワールドで活動してくれて本当にありがとうございます。 これからは大変だと思いますが、頑張ってください。」
いろは「はい!本当にありがとうございました!」
精一杯の感謝と共に、晴れる道の元を去った。
その後X(旧Twitter)で反応を見てみると、なんと78万人もの人たちが見にきてくれていたようで、晴れる道ネットワークの視聴率トップとなった。 この夜、『犬飼いろは』は伝説となった。
そして、『晴れる道・オルタナティブ』での『犬飼いろは』の物語は、終幕を迎えたのだった。